第1章 そうだ。福井に行こう!

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そんな話でみんなで盛り上がっていると、そこにエメラルドグリーンの海が広がって、あたしたちは車窓に引き寄せられるように張り付いて、 「海だー!!」 と思わず声を揃えた。勿論他にも乗客はいるから、みんなはクスクスと笑いながらあたしたちを横目で見ている。 「注目浴びちゃってるけど」 「みんな、海なんて見慣れてるだろうが」 「いやいや。日本海は初めて!」 陽菜も嬉しそうに言うと、あたしもふと思い返してみて、 「あ、言われてみれば、あたしも、初かも」 と言って海を見つめた。太平洋と何が違うって言われると分からない。でもなんだろう。壮大な感じ。ザ・海!!みたいな?え?わかんない? あたしも、分かりません!! 「でも、なんか、海が綺麗だね!」 茉那がうっとり眺めながら言うと、あたしたちは顔を見合わせて、 「海、サイコー!!」 と言ってハイタッチしていった。もうすぐ、小浜駅に到着だ。咲也はあたしの手をぎゅっと繋ぐと、あたしもそんな咲也を見つめて、 「いい思い出、作れるといいね」 と小声で言うと、咲也も嬉しそうに大きく頷いた。 「うん。で、頼むから、はぐれるなよ」 「えーー?やだ。子供じゃないんだから」 って言って笑ったあたしは、小浜駅に到着するなり、気が付いたら咲也たちとはぐれて一人で立ち往生してしまった。 ポツンと一軒家…じゃなくて、ポツンと一人。 ちょっとトイレに行って、コンビニ行って(ココまではセーフ)、おみやげ屋さんを覗いているうちに(ココらへんがアウト)、みんないなくなっていた。
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