第1章 そうだ。福井に行こう!

16/22
170人が本棚に入れています
本棚に追加
/938ページ
「ここ、どこ~~~~~!??」 確か、ここからバスで15分くらいの、なんとかって町に住んでいたはず。いや、そこに向かうんじゃなくて、観光するって話だったんだっけ? ん? 誰かと会うんだったけ?確か、小学校からずっと一緒だった仲のいい男友達がいたとか。その人と会うんだっけ? どこで? あたしはキャリーを小脇に置いて、腕組みして考え込む。と、ふと顔を上げてスマホを取り出した。そうそう。こういう時のためにスマホを……。と思ってスマホの画面を見ると、充電切れ。電池マークが端っこにうっすら赤くなって、間もなく真っ黒に、いや、真っ暗になった。 終わった。 終わってしまった。 頼みの綱が、切れた。 オワタ。ワロタ。いや、笑えない。 そんな時、アイツはいっつも現れる。空気を読めるのか、読めなくて神出鬼没なのかは意味不明。   バイクがあたしの前にスーッと停まって、ソイツはヘルメットを外して、 「光莉!?こんなとこで何やってんの!?咲也たちは??」 といきなり驚いた声を上げて、ニコッと笑っていた。 「マッキー!!!」 「いや、みんなここに帰省するっていうからさ、俺は昨日から祖母のとこに泊まりに来てんだ。で、海沿いを走ろうと思ってたとこ……」 「救世主!!」 思わず嬉しくなってマッキーに飛びつくと、マッキーはまた驚いていたけど、クスクスと含み笑いであたしの頭を優しく叩いた。 彼は槙村圭佑(けいすけ) ニックネームはマッキー。一応イケメン。咲也ほどじゃないけど。
/938ページ

最初のコメントを投稿しよう!