第3話 教会のお手伝い

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 広い庭には緑と花が広がっていました。青葉を付けた木が立ち並び、葉の隙間からは光が溢れ、綺麗に手入れされた花壇が教会を囲んでいます。華やかな香りを連れたそよ風が、アサギの傍を通り抜けます。  庭の中央には、円形に設置された煉瓦造りの花壇がありました。赤、ピンク、橙、黄、緑、青、藍、紫――輪になるようにそれぞれの色の花が固められた花壇の中央に、微笑んでいる聖母の像と、大きな十字を象った石が建っています。  コハクが手招きして三人を連れてきたのは、庭の一角の芝生でした。とはいえ緑が整列しているわけではありません。雑草が好き放題に伸び、落ち葉が好き放題散らかってしまっています。 「ここにも花を植えたいんです。なので落ち葉を拾ったり雑草を引き抜いたりしてもらえませんか? もちろん可能な限りで構いません」 「はーい!」 「わかりました」  アカネがいの一番に元気よく返事をし、アサギも頷きます。それくらいなら、あまり力のないアサギにもお手伝いできそうです。 「ありがとうございます。それではよろしくお願いします」  丁寧な動きでまた頭を下げながら、コハクは教会の外へと出ていきました。 「ふふ。それじゃあ頑張りましょうか。破片とか、危なそうなものを見つけたら私に言ってね」 「うん! アカネ、今日も頑張るっ!」  シスターとアカネは早速手を動かします。  アサギは庭の中央に立つ聖母像を見上げました。  顔を下げて花を見つめている彼女の表情が悲しそうな気がするのは気のせいでしょうか。 「アサギ君? どうかしたの?」 「あ……ごめんなさい。何でもありません」  シスターの問いかけに首を横に振って答えたアサギも、お庭の掃除を始めます。
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