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「社長、コーヒーお持ちしました」
「ありがとう」
これまで祖母の秘書をしていた人が定年を迎えたこともあり、明里は俺の専属秘書として会社でも俺を支えてくれることになった。
ひたむきに頑張る明里だからこそ、あまり働かせすぎないよう気を付けなければ。
「今日のおやつは大人気スイーツ店の——」
「たまには明里の手作りが食べたい」
「これ以上私を働かせるのですか?」
キリっとした目を向けて睨まれた。
「あ、いや、そうじゃなくて」
「嘘です。今度の日曜にデザート作りますね。その代わり、夕飯は大都さんにお任せしていいですか?」
いたずらっ子のように微笑む明里を今すぐに抱きたい衝動に駆られるが、今は仕事中。我慢我慢。
「ああ、もちろんだ。三ツ星でも五ツ星でも手配する」
「普通でいいですよ。普通で」
欲のない明里が欲を見せる時はいつなのだろうか。
ああ、俺との結婚、あれは欲を見せてくれたことになるのだろうか。
もっと明里を甘やかしたい。
もっと明里に甘やかされたい。
永遠に甘い蜜の中で溶け合いたい。
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