5時間目

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5時間目

「うぅ、暑っ」 職員室から教室までの、廊下が暑くてたまらない。 7月になった途端に、ぐんぐん気温が上昇してきた。 一番眠くなりやすい、魔の5時間目。 教室のドアを開けたら、涼しい風にスーッとする。 「はーっ、すずしー」 つい入り口で立ち止まってたら 「美桜せんせ、あれあれ」 生徒たちが教壇を指さしてる。 「え?」 その方向に目をやると、あたしの好きなドリンクが、20本くらい教壇に並んでる! 「えーっ、どうしたの、こんなにたくさん」 「せんせー誕生日でしょ、オレらからのプレゼントだよ」 登村くんのおっきな声。 「誕生…明日よ、あたしの誕生日」 「わかってる、けど土曜日だからさ、みんなしてさっき買ってきたの」 「えーっ、すっごくうれしい…」 泣きそうになるのを、ぐっとこらえて 「みんな、忙しいのにあたしのことまでありがとう!」 頭を下げると 「美桜せんせーには、世話になってるもんな」 「そーそー、お礼とお祝いと、ま、これからもよろしく、ってことで受け取ってよ」 「持って帰れる?何個あんの?」 「歳の数だけだろ、ローソクの代わり」 「せんせーいくつだっけ」 生徒たちからの愛が、すっごくうれしい。 お祝いされたの初めてだし、こういうのも初めて。 「もー、ほんとにありがとう!!先生、もっともっとがんばるね!」 「せんせーががんばりやなのは、わかってっから、あんま無理すんなよ」 最後の声は、登村くん。 「うん、気を付けるね。ほんとにみんなありがとう!ってことで、先生からのお礼はこれです」
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