1.郷に入っては郷に従え

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1.郷に入っては郷に従え

まずいと思ったよ、マジで。 真っ白な雪を血で赤く染めた男共を見た時は。 「…あれ?これ私がやった?」 「お前以外居ねえだろうが。どんな脳ミソしてんだよ腐ってんのか」 …酷いよ、蒼井ちゃん。私はこんなにも健気に瞳を濡らして彼等を見てるっていうのに。 するっと目元を指で拭ったら、涙だと思ったのは飛び血だった。やだ、汚い。 雪を拾って指を拭う。 そんな私を見て、蒼井は盛大に溜め息を吐いた。 「人の心も無えな」 「蒼井、消毒ある?」 「拭いただけじゃ嫌なのかよ」 蒼井の所に行こうとした時、ぎりっと足首を掴まれる。視線を落とせば私を見ている男の目が酷く荒んで私を見上げていて。 「おっ、前…、このままで済むと思うなよ」 「うん。分かった」 にっこりと微笑んで男の顎を蹴り上げた。要らない舌は暫く回らなくて良い。元はといえばアンタが私にいちゃもん付けてきたのが悪いんでしょうが。 「お前はマジで人間か?」 「人間だよ。二次元で生きてないよ」 「そういう意味じゃねえよ。化け物かつってんだ」 「…」 「んだよその目」 「親友に酷いよ、蒼井…」 「テメェはまた…、ショックなんか受けてねえ癖によ」
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