最終章 ふたりぼっち 6 (最終話)

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「前におっちゃんに言われたのを思い出したんだ。好きな女にはかっこつけずにちゃんと向き合えってさ」  それは、私がずっと聞きたかった言葉だった。 「期限、決めた方がいい?」  不安そうな、心もとない表情。いつものナオキからは想像がつかないものだった。私はナオキに近づいて、ナオキの腰に腕を回すとそっと身を寄せた。私のなのか、ナオキのなのかわからない、心臓の鼓動が大きく響いていた。 「どうしようかなあ――」  思わせぶりに言ってみたけれど、ナオキの顔を見上げたら自然と笑顔になった。 「ううん。決めなくていいよ。ずっといてほしいから」  正直な気持ちだった。ナオキの前で、今さらかっこつけたり、本心を隠したりする必要なんてないじゃない? 私の一番いいところも悪いところも、ずっと見ていてくれたのはナオキなのだから。  ためらいがちにナオキの顔が降りてきて、唇と唇が重なった。長くて優しいキスだった。 「ずっと、こうしたかったんだ」  熱に浮かされたような眼差しで私を見ながら、ナオキが言った。 「ずっとって、いつから?」 「初めて会った頃から」  ナオキは、私の頬を右手で優しく触れながら答えた。 「それなら、もっと早くこうしてくれたらよかったのに」
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