夜のオフィス(Side百合)

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テレビ局での取材対応を終え、会社に戻ってきたのは午後8時だった。 定時を過ぎ、オフィス内の人数はかなり少なくなっていた。 由美ちゃんも無事帰れたようだ。 「あら、並木さんお帰り。取材対応どうだった?」 仕事を切り上げそろそろ帰ろうとしている様子の安西部長から声をかけられた。 「無事終わりました。担当ディレクターさんが商品にすごく興味も持ってくださって、色んなカットで撮影することになったんで時間かかっちゃいました。明日放送される予定です」 「そう、お疲れ様。この後はまだ残るの?」 「はい、今日中に進めようと思っていた案件が全く手付かずで‥‥。今週中にやっておかないとスケジュール的に苦しくなるので、もう少し残ってやっていきたいと思います」 「確かに今日やっとかないと厳しいものね。他の人が手伝える案件でもないし。でも無理しすぎないでちょうだいね。今日は金曜日だし、週末はゆっくり休んでね。申し訳ないけど、私は今日はこれで失礼させてもらうわね」 「ご心配ありがとうございます。お疲れ様でした」 安西部長がオフィスを去ると、私はさっきコンビニで買ってきた軽食をデスクで食べた。 お昼ごはんも早かったので、さすがに8時を回ると小腹が空いていた。 お腹を満たすと、パソコンを立ち上げ、途中になっていた仕事に取り掛かる。 集中していると、いつの間にか午後10時を過ぎていた。 このフロアにはもう誰もおらず、私が最後のようだった。 (他のフロアはどうだろう?さすがにこの時間だともう誰もいないかな) うちの会社はホワイト企業で健康経営に取り組んでいることもあり、みんな帰りは結構早いのだ。 特に今日は金曜日。 予定が入っている社員も多いのだろう。 私もこの時間まで残業することは稀である。 パソコンから目を離し、乾いた目を潤すためパチパチと瞬きをする。 腕を上にぐーっと伸ばし肩の疲れもほぐす。 ちょっとボーッとしながら、「マッサージ行きたいなぁ」と思っていたら、突然セキュリティが解除される音とともにガチャっとドアが開く音がした。
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