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あれからしばらく歩き、ようやく生徒会室があるという階にたどり着いた。
それまでの間に各々簡単な自己紹介や会話をしていたので、ある程度の親睦は深められたと思う。まぁ、主に話していたのは花吹雪先輩方なのですが。
「ねぇねぇ蓮〜」
すぐ隣を歩く亜紀さんが、僅かに顔をこちらへ向けながら声をかけていた。
心做しかその表情はゲンナリとしている。
「どうしましたか?」
「生徒会室まで遠すぎると思わなぁ〜い?流石十六夜学園だよねぇ」
「ふふ、確かに講堂から徒歩15分は遠いですよね」
「あき…れんか、何、話し、て、る…?」
私達の少し後ろを歩いていた狗神さんが亜紀さんの近くに寄りながら、キョトンとして尋ねてきた。
「生徒会室まで遠すぎるよねぇ〜って話だよぉ」
「な、るほど…。そ、だね…遠、い…」
こうして誰かと会話している姿を見ていると、狗神さんは話す事が苦手なのではなく、ただのんびりとマイペースな方なのだとよく分かる。
それを踏まえ、彼に対して変に気を使わなくても良いと判断したのはつい先程のことだ。
微笑みを維持しながらそのようなことを思い返していると、ふと視線を感じた。視線を感じた場所に目を向けると、丁度皇会長が目線を進行方向へ戻すところだった。
…警戒されている、のだろうか?
そんな疑問を抱いたまま、残り100m程の距離を歩いていた。
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