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「だから、そのー。好きなんだよ、的場のことが。だからそばにいたのに。それをなに? 縛りつけてるだとか、犠牲にさせているとか。だから距離を置かなきゃだとか。そっちの方が辛いんですけど」
「ご、ごめん」
立ち上がり、染矢がわたしの元まで歩み寄る。
「本当は一緒に文化祭回りたいし、それに」
わたしの持っていた紙パックを奪い取る。染矢はそれを持って、ストローに口をつけた。
「こういうこともしたい」
顔を赤くしながら、染矢は言った。驚いて声も出せずにいると、染矢が紙パックをわたしに返した。
「ごめん。直接、キスするのは、嫌がるかなと思って」
照れている。それがわかり、わたしは微笑んだ。
「わたしも」
「え?」
わたしは、返された紙パックに口をつける。
「染矢とこういうこと、したいよ」
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