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染矢の言う通り、みんな準備に忙しいのか、自販機には人気がない。
「だって。だって染矢、わたしがいなければ本当はもっと、自由な高校生活を過ごせたのに。わたしのせいで、色々犠牲にしている。だから、距離を置かなきゃって、思って……」
俯きながら喋る。すると、盛大なため息が聞こえた。
「そんなことか。あのな、的場」
「そんなことって。骨折のことでずっと罪悪感を覚えさせて、その上、高校まで気を遣わせてそばにいさせて。わたし、もう」
「聞いて、的場」
優しい声色、真剣な瞳にわたしは黙った。
「俺は好きでやってんだよ。そりゃあ、骨折させた直後は、罪滅ぼしで色々してた。でも、もう何年も経ってんだよ? 俺が、罪悪感だけで的場のとなりにいたと思ってんの?」
「違うの?」
染矢が頬をかく。照れ臭そう。それから小さく、「もっとはっきり言わなきゃだめか」とつぶやいた。
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