・ハニーちゃんとクソ反社。

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「トモヤ。ハニーちゃんこの見た目で、体のどこにもメスが入ってない、天然(もん)なのよ? 凄くね?」 「もぉ、ルイ君たらぁ。天然物って、お魚じゃないんだからぁ……」  天然物って言い方が気に入らなかったのか、笑顔のハニーちゃんの横から攻撃的な視線が向けられ、眉間にぶっ刺さった。 「なんか言いたそうだな……? クソ反社……」 「いえ……。別に……」  俺を見ることなく独り言のように言うと、リョージは透明の液体が入ったグラスを二つトレイに乗せ、ホールへ向かった。  すぐにカウンターへ戻ってきたリョージを、トモヤの目が遠慮がちに追う。 「あー……、あれ? バーテン見習いの、くそボーイ。名前は知らね」 「もぉ、ルイ君たら……。リョージ君ていうの。よろしくね」  ハニーちゃんが苦笑いで言うと、隣でリョージが頭を下げ、それに(こた)えるようにトモヤも深々と頭を下げた。
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