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・・・。
初めて会った日……。
その人は、跳んだ。
俺の目の前で。
俺に向かって。
ぶつかった衝撃は、いろんな意味で俺の胸を突っ切っていった。
ひらひらと、笑顔で躱す掴みどころのない人。
俺はその人の背中を追いかけた。
だけど……。
最期の瞬間も、やっぱりその人は、飛んでいた。
俺の中で、何かが消えた瞬間だった。
そもそも俺の中に、そんなものが存在するのかどうかも分からない。
でも確かに、その刻、何かが消えた。
どんなに想っても、どれだけ追いかけても……。
結局俺は、その背中を捕まえることができなかった。
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