前説に代えて (2022年10月21日 編集加筆済み)

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前説に代えて (2022年10月21日 編集加筆済み)

  斜陽ながら旧家である和泉家の次女、成瀬 絢音(なるせ あやね)は 妾腹である―――― イヤ、正確に言うと婚外子。  ちょっと複雑だが、父・絢治は和泉ナツと結婚する前既に、絢音の母・静音と将来を誓い合った恋人同士で、しかも静音は絢音を身ごもっていた。ここでナツの横やり(横恋慕)がなければ、絢治と静音は普通に幸せな家庭を築いていたが、どうしても絢治との子供が欲しいナツが絢治の実家・成瀬家の負債の肩代わりを条件に、絢治との結婚を強行した。俗に言う゛略奪婚゛だ。  そして、月日は流れ、年ごろになった絢音には家族の問題以外にも頭痛の種がある。  祠堂で開催された学院祭で絢音を見初めたと、とある資産家一族の長男が結婚を前提としたお付き合いを申し込んで来たのだ。 ゛友達以上恋人未満゛程度の付き合いの男から前触れもなくそんな申し出を 受けた事に戸惑い、絢音としてはお断りしたかったが。  和泉家再興の絶好の機会と、ナツは一人で大盛り上がり。両手を挙げての大賛成。  本人・絢音の意思など完全に無視でトントン拍子に話は進み、とりあえず在学中に婚約 で 卒業後結婚という運びになりそうなのだ。  絢音はその長男・深大寺虎河関連の良くない噂を知り、どんより落ち込むばかり。  そんなある日、以前知り合った西島という男性との再会から、絢音の新たな人脈が広がってゆく。
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