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「『もう会わない』とか
騒いでおいて可笑しいでしょ?
でも、なんだが会って
少しは話をしたい気も…」
物事に白黒をハッキリさせる
菜々子でも“惑い”は
あるのかと…俯く一同。
「で、会ったのだけど…
三十分くらいしたときに
先輩の御宅から
『奥様が倒れた』って
電話が掛かってきて…
すっごく慌てた先輩、
猛ダッシュで帰っちゃった。
なんか…なんかね…
“変な期待”?
“奥様より自分が愛されて?”
みたいな?もう、笑った
笑っちゃたわ、フフフ」
「流行りの“からの〜”だね、
まあ、人生は滑稽だよ」
鈴子が茶化して
みなで笑った。
「後は私が任されて…
【 認知も面会もなし
むろん養育費もなし
但し、一年に一度
奥様には子供の成長は
連絡をする 】
で、奥様と約束をしたの」
優子が事務的に言うと
「なら、カンパーイ!」
鈴子の合図でこの話はピリオド。
が、ピリオドのはずが
「だから、俺は決めたんだ」
老舗ビアホールに
太一の声が響いた。
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