prologue

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「好きっ……神楽さんが好き……」 きしむベッドの上。 揺れるシーツの波の中。 体の中から溢れてくるたったひとつのその言葉を、私は何度も何度もあなたにぶつける。 「うるさいんだよ」 だけどあなたは私の唇を塞いでしまう。 まるで『聞きたくない』とでも言うように。 「んっ……」 それでも私は好きだと言い続ける。 好き、好き、好き。 なにも考えられないくらい好き。 他の人のものと分かっていても好き。 あなたが貫くたび、沼の奥深くに堕ちていく。 あなたが仕掛けた罠に、嵌って行く――。
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