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「そうかミク、本当だね?」
「はい、本当でございます」
そう答えて私は固まってしまった。今ミクって言われた。
ニヤリと王子が口角を上げる。
「それで、どっちが本当の君なの? 王女アメリア? それとも予備王女のミク?」
私は震えていた。王子はどこまで知っているんだろう? でも最後まで私は演じるしかない。
「わ…私はアメリアです」
王子は更に意地悪そうな表情を浮かべている。
「そうか、出来たら僕の婚約者はミクが良いな。だって一年前に僕は強盗の被害から助けてくれたミクに一目惚れしちゃったからね」
私は小さく溜息を吐いた。もう彼は全てを知っているんだ。
「……王子殿下。私は予備王女のミクです。殿下を欺いて申し訳ございません」
王子が笑顔で大きく頷く。
「そうだよね。種明かしをすると我々オリオン帝国はこのトリックを全て知ってる。何故だと思う?」
大きく首を左右に振る。
「一年前に君に一目惚れした僕は君のことを調べたんだ。だって君は赤い竜の鍵石を持っていたからね。そして半年前には君が予備王女のミクだと分かって、ずっと監視させていた」
「それでオリオン帝国は私がアメリアを演じていると初めから知っていたのですね。でもどうしてそれを受け入れられたのですか?」
王子が大きな笑い声を上げる。
「だって僕は一目惚れのミクを婚約者にしたかったからさ。それに……」
その彼の言葉に頬が火照ってくる。
「……それに?」
「これはオリオン帝国に対する背信行為だ。つまりこれを持って完全にペルテウス王国を消滅させることが出来る。だから帝国はこのトリックを受け入れたのさ」
そう説明する王子の表情からは先ほどの笑顔がすっかり消えていた。
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