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「んで、落合に告白したらフラれた」
サラリとバラされて、俺は飲んでいたウーロン茶をブーっと噴き出した。
「ど、どういうことですか!? ガックン? ちょっ、告白って!?」
「ああ、勝手に俺が惚れただけだ。良いやつだなって思ってさ。ダメなら仕方がない、これからは良い友人だ」
信じられないと顔を上げられなくて手で覆った。
素直な人なのだろうが、まさか友人二人の前でバラされると思わなかった。
「びっくりした。そんなことになっているなんて……」
「別にいいだろう。学生同士の恋愛なんて、そんな珍しいモンじゃない。お前らだって、付き合っているんだろ?」
「そ……、そうですけど、兵藤さんは、肉食系で……」
「あーあー、そういう固定観念は好きじゃねーんだわ。力加減が違うのは分かるが、とっくにヒト化した文明で、いつまでもこだわってたって仕方がないだろう。上の連中が築いてきた悪習に俺らが習う必要はない! ……といってもフラれちゃったし、他の可愛い子を探すわ」
まるで宇宙人でも見ているかのように、ルイもマサもポカンと口を開けて話を聞いていた。
兵藤みたいな人と付き合ったら、悩まされることはあっても、逞しく生きていけそうだと少しだけそんな想像をしてしまった。
「んで? ガックンは気になる人と上手くいったのか?」
またまた爆弾を落とされて唸るしかなかった。
何でもかんでもペラペラと喋ってくれる男である。
前言撤回、口が軽すぎる!
付き合ったらダメなタイプだ。
「ちょっ、好きな人いるの? なんで教えてくれないのさ」
案の定、ルイが食いついてきて、俺の腕を揺さぶった。
ここで上手くごまかして、芸能人の名前でも出せたならよかったが、そこまで考える元気がなかった。
自分の気持ちに自覚したはいいが、亜蘭とのあり過ぎる心の距離に心はすっかり萎んでいた。
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