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家に入った耀は急いで袋を探しながら、ふと、あの赤いエコバッグのことを思う。
その羽積とかいう奴と石崎は、期せずして、おそろいのバッグを持っているというわけだな。
一瞬、自分も似たような赤いバッグを持ってないだろうかと探しかけたが。
いや……そんなところで媚びてどうするっ、と思い直しす。
そもそも、俺は、石崎のことをずっと好きだったとかってわけじゃないし。
一晩共に過ごしたのなら、責任をとって結婚しなければと思っただけだ。
そう。
責任をとって、ちょっと結婚したいなと思っただけ……。
そんな自分でもよくわからない言い訳を心の中でしながら。
耀は窓際のローボードの上に畳んであった白い帆布のトートバッグを手にとった。
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