NEWグッド・ジョブ媚薬 7部 M&A編

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亮は拓馬の話に呆れていると 香港の宝石王の娘でもある小妹は 嬉しそうに椅子で跳ねていた。 「これ私の家のヘリコプターと同じだわ」 「そうか、お前もか・・・。でもじっちゃん 救助隊の基地をどこに作ったんですか?」 「ああ、飯田のばあさんの世田谷の土地の 地下に旧日本軍の研究所が 有ってな、それを利用した」 ※旧陸軍兵器研究所は兵器の研究開発をする場所で   現在慶応大学生田キャンパスは昔、登戸兵器研究所と呼ばれ   生物兵器、化学兵器、特攻兵器、風船爆弾などの兵器の 研究開発が行われていた。 そして戦争の戦火が厳しくなるに連れて次第に敵の目を 避ける為に秘密研究所が作られていった。 そして日本の敗戦が色濃くなった時、秘密研究は 密かに消されていった。 ちなみに日本軍が作った特攻機桜花の技術は 日本が世界に誇る新幹線0系に使われ、気密扉 がその最たるものだった。 「日本軍の研究所ですか?」 「飛行機の地下格納庫、射撃場、工作機械、化学研究設備、  見ものだぞ」 「じっちゃん、飯田さんを知っていたんですか」 「いや、秀樹に紹介されて意気投合してあの 広大な土地を使わせてもらう事になった」 「そうだったのか・・・」 秀樹が「一度飯田さんの家に行ってみると良い」 と言ったのはそう言う理由だった。 「事と次第によっては安全の為にBS4を 飯田さんの土地の研究所に移すつもりだ」 「分かりました、お任せします」 さすがの亮も祖父拓馬の言いなりだった。 「やけに素直だな、亮」 「別に僕はじっちゃんを尊敬しているだけです」 「いや、こうして国際救助隊を作れたのもお前のお蔭だ。  感謝する」 「え?」 「俺はお前の関わっている会社の株を 持っているからな儲かって仕方がない、 DUNグループだけでは無くてアメリカンウエブも ランド不動産も D&R(デビッドの会社)もWSO(ロイの会社)も そしてユニオンチャイナグループも」 「あっ、なるほどそれは儲かっていますね。 でもどれほどの規模か分かりませんが 維持費には莫大な金額がかかりますよ」 亮は暗鬼の組織を維持する金額で心配だった。 「そんな事お前に言われなくてもわかっている」 「ですよね・・・すみません」 亮は拓馬の作った組織などなんの興味も無かった。 「さてお前には何をやってもらおうかな」 「じ、じっちゃんそれは無理です。 僕はこれでもかなり忙しいんですから、  大阪の黒崎正一郎と戦わなくてはいけないんですから」 「わかっている、だから身の回りの整理をしろと言っているんだ。 だいたいお前は今どこに住んでいるんだ?」 拓馬は毎夜違う場所にいる亮が心配だった。 「ええと・・・できたらキャシーの側に」 「そうか、二人目の子供が心配か」 「はい、心配です」 亮は父親としての自覚も芽生えてきた。 「その若さで二人の子供か・・・私の計画通りだな」 「例の僕の実験ですか?」 亮はそれを聞いてうつむいて答えた。 「ああ、徳川家1000年王国」 「1000年王国を作るためには優秀な子孫が必要であり その子孫を作るための秘伝書ですね」 「ああ、私が古文書を解読してお前が生まれた時から  古文書に書いてあった通り、毎日秘薬を与え、  栄養、教育、運動、睡眠時間まで管理して  小学校に入る前には見た物をすべて覚える事の出来る  優秀な頭脳の人間になった」 「はい、子供の頃は辛かったですけど今は感謝しています」 「問題はお前の遺伝子が相手の女性と絡んで どれだけ優秀な子供が生まれるかだな」 拓馬は顎に手をやりニヤニヤと笑った。 「じっちゃん、絢香に会いましたか?」 「ああ、お前に内緒で絵里子さんに見せてもらったよ。  目の力がとても強い気がする」 「ええ、僕もそんな気がします。  時々僕の頭の奥に話しかけてきます」 「テレパシーか?」 「はい、それともう一人僕の子が居ます」 「だ、誰だ?」 拓馬は突然亮に言われて驚いていた。 「ハーバード大学時代に精子提供をした時の子が居ます」 「ん?身元は分かっているのか?」 「はい、大学時代の友人のパトリシアの  従姉妹ジェニファーのお姉さん、アンナの子 ロバート4歳はキンバリー財団で 英才教育を受けているようです」 「何!キンバリー財団!」 「はい」 「亮の子がキンバリーにか、世界中の天才児を  集め様々な研究をさせて、それを 世界中に売って儲けている財団だな」 拓馬は自分の実験が成功した事を確信した。 「はい、日本に戻る前にキンバリー財団の人間と接触しました。  どうやら絢香にも興味があるようです」 「うん、もう目を付けられたか」 「はい」 「キャシーの子も天才の可能性がある、気を付けないと・・・」 拓馬はもう一人誕生する天才が気になっていた。 「はい、全力で護ります」 「うん、良し!」 亮の祖父拓馬は徳川家に伝わる古文書を解読して、 自分の先祖の御典医、團正志斉の書いた古文書 は徳川家の1000年王国に対する並々ならぬ思いが 記されていた。 しかし、実際にはそのプログラムが実行されていた様子は無く 秘薬によってスパーマン将軍を作り上げる事は 周りを囲む人間がコントロールできない 将軍は迷惑だったのだ。 「亮、1000年王国のスタートはお前だ、 お前の遺伝子がこの壊れかけた世界を統一する。 お前の10人の子供が40人の孫を作り曾孫が160人の子供が 640人の子供を作って行くんだ」 「でも、実際に僕の遺伝子はそんなに優秀なんでしょうか?」 亮の心は揺れていた。 「あはは、分からん。ただ我々が考えている  病気の無い世界、争いの無い平和な世界を作って行って  欲しい」 「はい」 亮は子供の頃、拓馬に徹底的に教え込まれていた、 平和の精神を思い出していた。 隣で聞いていて亮の秘密を知ってしまった。 小妹は亮の耳元で囁いた。 「亮の秘密ってそれだったの?」 「うんまあ、ただあの秘薬がどれだけ 僕に影響を与えているか分からない、 副作用で突然体に異常がおき死ぬかもしれない」 亮は拓馬に聞こえないように小妹の耳元で答えた。 「それって・・・悲しい」 小妹は亮が作られたスパーマンだと初めて知った。 「もし、異常が起こるとしたら30歳頃らしい、31歳になったら  盛大な誕生会をしよう。あとこれはみんなに秘密だ小妹」 「うん、ねえ。私が亮の遺伝子を受ける権利がある?」 小妹は真剣な顔で亮に聞いた。 「小妹、まだ処女じゃないか。権利の問題じゃない」 「じゃあ、おじいちゃんに言って許可を取るわ」 「や、やめてくれ。僕が天才を産ませる遺伝子を持っている 事がばれたら大変な事になる」 「それもそうね・・・」 小妹は亮が世界中の女性に追いかけられる事を想像して 大声で笑った。 ~~~~~ 亮たちはヘリコプターでDUN製薬八王子工場内に着くと GS4にエレベーターで降りた。 「五郎さん、これです」 滅菌室で体を洗浄し防護服に着替え 緑川五郎にアルミトランクを渡した。 「お預かりします。蓮華さんと桃華さんを見舞ってください」 亮と拓馬と小妹は病室の隔離ベッドに寝かされた 蓮華と桃華のところに行くと沙織が 桃華のバイタルメーターを見ていた。
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