《源田店長の恋》

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《源田店長の恋》

 (げん)()店長には(りょう)(ぜん)たる下心があった。  彼が経営するパン屋は、住民からの支持が厚い人気店である。  その源田は、五ヶ月前にアルバイトで入った二十歳の女の子が大好きだ。彼女としたい。そこは男と女……、本能的にしたいことは語らずともお察しの通りだろう。  彼女の名前は(もり)(かわ)(ひろ)()といった。本当に可愛くて、実にいやらしい体つきをしている女の子だ。 「宏美ちゃん」  こう呼ぶたび、胸の中がときめきで満ちていく。源田には妻がいるのだが、どうにも精神的に拒まれている気がして、夜の生活なんてものはすでにセピア色と成り果てていた。それだから宏美と……、というわけではないが、彼女を欲しがる気持ちに()(らち)なものが皆無とは言えない。動物である以上、必要不可欠な行為じゃないかと思っている。  今日もせっせとパンを作り、商品陳列の上手な宏美に店を任せた。 「いつも通りでやっといて」  二人で交わす暗号のような言葉は、端的に言えば彼の戦術を指す。
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