一幕目*プロローグ

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LDR(陣痛室兼分娩室)の前を通ると丁度赤ちゃんの泣き声が聞こえて来た。 「今、産まれたのかな?」 「かも・・・奏弥先生が取り上げたのかな?」 私達は立ち止まり、赤ちゃんの誕生を喜び合う。 分娩室から奏弥さんが出てきた。 「遥…」 「赤ちゃん…生まれたんですね…」 「まぁね…男の子だ…」 彼は嬉しそうに私たちに返した。 自分の手で新たな命を取り上げた彼の大きな喜びが私たちにも伝わる。 「・・・あ・・・これ」 「机の上におにぎり置いておきますから…食べてください」 私はランチ抜きで分娩室に行ってしまった彼の為に院内のコンビニでおにぎりを買った。 「サンキュー遥…」 奏弥さんは嬉しそうに笑い、私に礼を言った。
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