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落ちこぼれ魔法使いソフィーネ
あたしは追い詰められている。落ちこぼれ魔法使いなのに、世界の窮地を救う勇者を召喚するはめになってしまったのだ。
レイラルド皇帝お付きのじいやが魔法学園にやって来てきたのは、今から二時間ほど前。じいやは「大神官が所有する魔宝石にソフィーネ・シロリルが映った。城に来て、勇者を召喚せよ」と命じた。
ちょび髭がご自慢の学園長は、じいやに忠告した。
「優秀な魔法使いを輩出してきた名門シロリル家のご令嬢とは思えないほどに、ソフィーネくんは落ちこぼれです。筆記テストでは常に赤点。魔法テストでは暴発してばかり。同級生のオルリンデがいなければ間違いなく、学園は吹っ飛んでいることでしょう。コントロール能力皆無の落ちこぼれ魔法使いが召喚などしたら、何が出てくるか分かりませんぞ。勇者どころか、魔王が出てくる可能性も十分にあります」
不安しかないという学園長はオルリンデも宮殿に連れて行くよう、じいやに懇願した。
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