1.プロローグ

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1.プロローグ

「本当に……いいのかい?」 「はい。……いいんです」  彼氏にフラレたショックから、傷心旅行に出掛けた私。  向こうで知らない人たちにナンパされてた所を助けてもらったあの日、私は名前も知らない男性と、ホテルのベッドで見つめあっていた。 「まあ……君がいいなら、いいんだけど」 「お願いします。……今日だけでいいんです。あなたと一緒に、いさせてください」  目の前にいる彼の服をギュッと掴むと、彼は私の頭を撫でながら「……分かった。じゃあ、君を抱くよ?」と聞いてくる。  リムレスのウェリントンのメガネから覗かれるその甘い瞳に吸い込まれるかのように、私は静かに頷いた。  もう止まれない、そう思った。今日だけでいいから、この人に抱いてほしい。  何もかも忘れさせてほしい。……そう思ったんだ。  私の中に眠る何かが、ジリジリと燃えているような気がしていた。 「ん……ぁっ……」  そっと首筋に唇を寄せたその人は、私の首にあるホクロを撫でながら「ここにホクロ……可愛い」と呟いた。 「あ……っ、んっ」  メガネを外して私の唇を指でなぞると、そのまま素早く唇を奪われる。 「んふっ……っ、んっ」  唇を奪われながら、私は目を閉じていた。
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