3.霹 靂

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 仕事に出て行く親父が、名残惜しそうに真琴が握っていた自分の人差し指を引き抜く。  とたんに泣き出す真琴。  親父は慌てて又指を戻す。 「親父、いい加減にしたら?それじゃいつまでも仕事行けないだろ」  さっきから見てると親父は5回位同じ事繰り返してる。なにやってんだか。   「だってマコが泣くから」 「マコが寝るまで待ってたら遅刻するって」  俺に言われ、又しぶしぶと指を引き抜く。  やっぱり真琴は泣いていた。代わりに俺が自分の人差し指を握らせる。  ぎゅっと握るこの力が何とも言えず可愛い。    離れがたくなる親父の気持ちが分かるなぁ…   「チビ省吾みたいだな」  親父が笑う。あ、又何か俺の恥ずかしい事を思い出してるな。 「チビ省吾はトラックに乗せると寝る時いつも俺の服の端っこ握ってて、寝てると思って無理やり離すと必ず大泣きした。声が出ないのにいっぱい泣くから、見ててそれがツラかった。それが今じゃ、こんなに可愛い真琴の父親だもんな。俺が歳取って当たり前か」 「親父、まだ45じゃん。いきなり老け込むなよ」     親父の歳でこれから結婚するヤツとかもいるのに。  
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