1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
懐かしい地元の住所が書かれたハガキには、結婚しましたと書かれていた。
そろそろ冬支度を始めねばならないが、どうしたもんかと考えている頃だった。
差出人は倉瀬幹夫。小学校のころからの友人で、高校までは学校まで一緒だった。
その隣に添えられた名前は友梨佳。
旧姓小柳友梨佳といい、彼女は高校に入ってからできた友人である。
二人とも高校卒業以来あっていない。
会おうという気もなかった。無職なので会って楽しむほど懐に余裕もない。
結婚式の招待状も来ていたが、仕事が忙しいという理由を添えて欠席で返事を出した。
無職なのは知られたくなかった。
報告のハガキだって別に欲しくはないのだ。
僕が彼らを避けていることは、きっと気付いているはずなのに、どうしてわざわざ送ってきたのか。
忘れたくても忘れられない嫌な思い出がある。
最初のコメントを投稿しよう!