春を待ち侘びて⑨

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春を待ち侘びて⑨

 寝台の上で紫桜の情火(じょうか)を身に受ける。  他人を受け入れられる場所は、既に紫桜の残像を覚え、そのカタチとなっていた。 「や、紫桜さま! それ……やだ……!」  凛珠の言い分は認められず、責め立てられる。 「嫌なんじゃないだろう。身体は……馴染んでいる」  嫌だと身体を(よじ)ったところで、より深く抉られるように穿たれるだけだ。  知られたくない。知られたくない。身体の一番奥で紫桜を受け入れると、何ものにも変え難い快感が突き抜けるなど。  知られたくないのに、そこを僅かでも刺激されると、すぐに(よろこ)んで鳴いてしまう。  ——隠しきれない。  どこまで愚かなのか。  こんな所が感じてしまうなど、淫乱すぎて泣きたくなる。  そして、そんな愚かさまでもすぐに紫桜には伝わってしまう。 「凛珠、私に抱かれるのが嫌なのか?」  熱情を埋めたままの状態で口付けされた。 「無理矢理従わせたくはない」  指でそっと涙を拭われて、泣いているのだと気づいた。 「違っ!」  もう一度、そっと唇を覆われる。 「言って、いいんだよ」  頬を優しく撫でられた。 「嫌いに、ならないで……。こんな」  言わないと、またそれですれ違いそうだった。  ぐすっと、涙を喉の奥に流す。  いずれは分かることだ。  意を決して口にする。 「身体のもっと奥に……、紫桜様が欲しいなんて……、こんなふしだらな女……」  顔を背ける凛珠の顎を掴んで、口内を蹂躙した直後、紫桜の瞳が獰猛な獣のように変化した。   直後これ以上ないという程身体を開かれ、凛珠が恐れていた奥の入り口に、(たぎ)った屹立を突きつけられた。 「ああっ!」  それ以上は進めないはずの内部が控えめに、淑やかにゆっくりと開き、紫桜の先端を受け入れ始める。 「いや、紫桜さま……。怖い!」 「少しも怖くない。私が居るだろう」  奥の奥——。  腰を落とされ、秘められた箇所に屹立の先端が常時当たったままの状態で、揺すられる。  本人さえ知らない場所を(えぐ)り、こじ開けられようとしている。
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