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  俺、関谷徹17歳は、それを目にしたとき危うく新たな世界に踏み込みそうになりました……とさ──。  女の子は可愛い。  俺の寮の部屋には数々のグラビア雑誌やDVDコレクションが並んでいる。  たわわに揺れる胸やくびれた腰のラインはもちろん、それを隠すセーラー服や捲れたスカートからチラリと見え隠れする白い太もも。それはもうロマンだ。  ちなみに俺は素っ裸で男女が絡み合っている映像より、見えそうで見えないチラリズムに喜びを見出すチラリズマーである。  あ、いや、触らせてくれるっていうなら、もうそんな主義なんてかなぐり捨てて踏みにじって火山口に捨てても構わないよ?  でも、生まれてからの女子に触れた記憶を喪失してしまった───うん、なんか、宇宙人にでもさらわれたのかな? どう頑張ってひねっても、運動会のフォークダンス持ち出してもなお、女の子に触った記憶ないわ。そんな記憶障害の俺には女の子の柔肌は遠く、チラリズマーとしての道を極めるしかないであろう、と。  そんな、とりあえず女の子大好きな俺、関谷徹17歳がまさか……まさか……。  あれは忘れもしない先週の木曜か金曜。あれ? 土曜?  むっさい男ばかりの寮。男数人でエロDVD鑑賞を終えた俺は、不発であった内容に中途半端に萎えた欲望を持て余し、とはいえ自ら慰める気にもなれず二階の休憩所の自販機にアイスクリームを買いに出た。  するってえと、自販機の横の長椅子に一人の人物が。  シャワーの後だろう。濡れた髪の上に無造作にタオルを載せて座っていた。  衣服からのぞくやたらと白く細い手足。  寮にこんな色白いねえよな。一年か?  ここは3年の階で基本的に、夜に他学年が足を運ぶことは禁止されている。  迷ったのかな?  俺が声をかけるより、そいつがペットボトルの茶を勢いよく呷ったせいで頭のタオルが落ちたのが少し早かった。  茶を飲むのに上下する白い喉が、なんでかさっきのエロDVDの映像とリンクし、例の中途半端な映像のせいで消化不良に不貞腐れていた我が子がにわかに活気づく。  元気いっぱいの俺の俺。誰かに見つかろうもんならそれはそれはイジられ──いや、物理的にじゃなくて、メンタルの方で──イジられるところだが、着古したパジャマ代わりのスエットがいい仕事をしてくれる。  ブカブカスエット万歳。  長財布万歳。小銭いれじゃこうはいかない。    ───って、いやいやいや!  こら、まて、落ち着け俺、血迷うな!  あの喉仏をちゃんとみろ。焼き付けて冷静になれ!  思春期のとんだ誤作動だ。  あー、怖い怖い。
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