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2019年9月
2019年9月2日(月)
神奈川県夕凪市の医者、賀来誠は病院経営のかたわら、医学生の教育にもあたっていた。そのためには解剖用の死体が必要だが、誠はギャンブル中毒で競馬やパチンコ、宝くじなどに金を注ぎ込み経営難だった。誠は快楽殺人犯の杉田那央人から闇で死体を買っていた。杉田は悪名高い小林一生とペアの仲間だった男で、墓から死体を掘り出していたが、誠はそのことには目をつぶっていた。
誠はこの日の夜、京極夏彦の『ヒトごろし』を読み終えた。
2019年9月16日(月)
明け方、院長室で誉田哲也の『キュロスの女』を読んでいると急患が入った。
手術のために若い女性の死体が必要になり、杉田に頼む。杉田は少女の死体を持ってきた。それを見て誠の助手、相武千春は驚く。その少女は夕凪駅前でストリートミュージシャンをしている少女で、千春は昨晩コインを恵んだばかりだったのだ。
「あなたには人の心がないんですか!?」
千春が涙を流しながら叫んだ。
誠は最初、千春は杉田に行っているのだと勘違いしていた。千春が杉田の方を見ていたからだ。
「杉田よ、いくらなんでもハンマーで殴ることはねーだろ? 首を絞めて殺した方が彼女だって苦しまなかったろうに」
誠から杉田が殺人を犯していたことを聞かされ、千春は動揺するが、隠蔽を決める。その話を盗み聞きした杉田の派遣仲間の尾上淳悟が杉田を脅迫する。
尾上と杉田はホルモン工場に派遣されていた。ハチノスっていう牛の胃袋をタワシで洗ったりする仕事だ。
「10万よこせば見逃してやるよ」
杉田は院長室から出て、トイレに行こうとしてるところを尾上に捕まった。
杉田の心臓は早鐘を打っていた。
「杉田さんも40近いんだろう? このご時世、転職活動も大変だぞ?」
尾上は豚みたいに太っていた。35歳には見えない。どこからどう見ても55歳だ。
しかし、17日の夜、工場近くの廃墟で尾上は杉田にハンマーで撲殺される。
「こんなところを待ち合わせにしたお前が悪いんだ」
杉田は、鉄で出来た床で白目を剥いている尾上に話しかけた。
それを知った誠は翌々日、誠は院長室で杉田をロープで絞め殺す。杉田はソファに座っていた。黄昏の光が窓から注ぎ込んでいる。
誠は散々悪いことをしたことで魔力を使えるようになっていた。透明になる魔法を使い、誠は顔を見られることなく杉田を葬ることに成功した。
9月23日(月)
誠は夕凪駅近くの図書館でハードボイルド作家、大沢在昌の『黄龍の耳』を借りて読んだ。
昨夜は千春と夕凪駅近くのバーで酒を飲んだ。
千春は飲めない体質らしくノンアルコールビールを飲もうとしたが、誠は「そんなものは酒じゃない。いいからビール頼めよ」とアルハラをした。
千春は昨夜のニュースであの少女が、秋田幾重って17歳の娘だと知った。
杉田が死んだことはまだ明るみになっておらず、千春は知らなかった。
断ったら何をされるか分からないから千春はビールを飲んだ。頭がクラクラした。
誠はハラスメントをするとヒットポイントが上がる体質だった。Harassment・Point。
誠は風邪を引かない体質になった。
9月30日(日)
誠は、小林に招かれて函館にあるマリス城を訪れた。マリスは英語で恨みを意味する。
小林は函館での土地の購入を希望していた。しかし、小林の正体は伝説上の存在とされていた吸血鬼であり、誠は下僕にされてしまう。小林は誠に手引きさせて船を占拠してロシアに渡り、誠は「精神を病んだ」としてモスクワ精神病院に搬送される。コテージを棲家とすると、高貴な人間として社交界に現れ、コテージの隣に居住する宇喜多博士一家に接触する。宇喜多の娘、恵梨香の友人、織江は小林の虜になり、血を吸われて死んでしまう。
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