良くある話

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男同士で付き合っている事は他の人には秘密にしよう。その方が良いだろう? だから、誰かに見られたら困るからハグしたり、手を繋ぐのも、キスも外ではしない。 お互いの部屋に居る時だけが恋人として過ごす時間にしよう? だから俺と付き合って。 そう言っていたのはどこのどいつだ?と神田 尚は目の前の光景を見てイラついた。 人気のない廊下をたまたま歩いて 角を曲がった時、恋人だった筈の陽平が小柄な男と自分に気付きもせずキスをし、抱き締め、男の方も甘えるように抱きついていた。 それを見た瞬間、尚はツカツカと近付きキスに夢中の二人の背後から声をかけた。 「――― 陽平、別れよう。」 「「…っ!」」 パッと2人同時に振り向き、尚の存在に気が付いた陽平が目を見開き、みるみる内に顔色を青くした。浮気相手も慌てた様子で陽平から少し離れた。 「な、尚…っ!」 陽平は青い顔して挙動不審みたいになってる。それに対して 尚は無表情そして冷静だった。 「もう1度言う。別れよ。」 「ちっ、違っ…待って」 「はぁ?何が違う?僕の目には彼とキスして、抱き締め合っていたとしか見えなかったが?」 「……っ!」 「…その彼と思う存分キスでもなんでもしてくれよ。彼となら部屋以外で何でもできるんだろう?僕と違って。」 尚はニッコリ笑って皮肉混じりにそう言い捨てて、踵を返す。 「尚、あっ、待ってっ…!」 陽平は尚を引き止める為に手を伸ばした。 尚は気配を感じて振り返り、バシンっと蠅叩きのように払い退け、ついでに足にも蹴りをお見舞いした。 「痛っ…!」 「あっ!」 「――― じゃあな。浮気野郎」 しゃがみながら引き止める陽平の声を無視して尚は歩き出す。 浮気相手の男は陽平に大丈夫?と声をかけていた。 「くっそぉ…ムカつくっ」 神田 尚は見た目は大変可愛らしい容姿だったが、中身はかなり男らしかった。
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