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「莉々、行こっか」 「あ、うん? ちょっと待って」 「…莉々」 「ん?」 「マフラーしてあげる」 「え?」 莉々が玄関で座り込んでいると、捺芽は屈んでからマフラーを巻いてくる。 「あ、ありがと」 「やっぱ莉々可愛い」 捺芽はそう告げると、ギュッと抱きついていたが莉々は困った表情をしていた。 「さて、姫行きますよ」 「ふふっ 姫って何? 捺芽くんったら」 莉々は可笑しそうに笑うと、玄関を施錠すると捺芽と手を繋いで雪道の通学路を転ばないように歩く。 「莉々、可愛い」 「な、何が?」 「ペンギンみたいな歩き方してるから」 「だって、雪道なんて滅多に歩かないし滑るから…」 「フッ 転んでも支えるから平気だよ」 「本当にナイトみたいになってるよ?」 「莉々、少し急がないと」 「あ、うん?」 莉々は捺芽と雪道の通学路を歩いて高校の校門前まで辿り着いた。 「莉々ちゃん、おはよ?」 「滝くん、おはよう?」 「ふぅん? 捺芽、その手は何かな」 「繋いでるだけだよ? 羨ましいか?」 「ふんっ 莉々ちゃん、俺と繋ごっ」 そう告げるなり、滝 佐月が反対側の手を握ってくるので莉々も戸惑っていた。 「あ、あの…」 「莉々の手触るな!」 「何だよ? 捺芽のじゃないでしょ? 莉々ちゃんはみんなのマドンナなんだから」 「は、離してもらえますか? もう敷地内です」 「ふふっ 可愛いね、相変わらず」 「…滝くん」 「はぁーい? 姫を悲しませたらダメだもんね」 佐月はそう告げると、パッと離したので莉々はホッと一息吐いた。 「莉々、離すけど転ぶなよ?」 「うん、ありがとう」 莉々は捺芽と手を離すと、下駄箱までゆっくり向かうと上履きに履き替えていた。
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