第四話『デート』

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第四話『デート』

(ただのデート……ただのデート……ってそれ、デートに失礼じゃん!!)  島風とのデートで頭がいっぱいになった心子は彼から届いたトーク画面を何度も見返しながら己の興奮を収めようと躍起になっていた。デートだが、相手はデートではないかもしれない。自惚れるのはまだ早いのだ。 (それに好きとは言ってないし……)  そうなのだ。あくまでファンだと伝えただけである。彼への恋心はもはや否定できない程の大きさであったが、島風には人間としてのファンだという意味合いで届いているだろう。  あれからすぐに彼に手渡されたレインのIDと電話番号をスマホに登録した心子は早速彼へメッセージを送った。  肝心な名前を名乗っていなかったことを思い出し『ファンだと告白した上羽心子と申します! 先程はありがとうございました!!』と連絡をしていた。  島風はすぐに返事を送り返してくれ、そこからトントン拍子に出かける日程が決まったのだ。心子は嬉しい気持ちで胸がいっぱいになり、デート服をどうしようかと来る日も来る日も考え続けていた。  そしてその日はやってくる。心子は万全の状態でデートの待ち合わせ場に向かった。 「おはようございます」 「おっおはござ……オハヨウゴザイマス!!!」  顔を真っ赤っかに染め、彼に挨拶を返すと島風は優しく微笑んで「行きましょう」と心子に声をかけてくれる。エスコートしてくれているのだ。それが分かった途端、単純にも嬉しさは更に増す。  島風の貴重な私服姿を背中側から眺め、後に続いていると突然彼は振り返り「横にどうぞ。デートですし」とサラリととんでもない発言をかましてきた。 「!!?」 「あ、デートは嫌でした?」 「そそそそっ、そんなことはなくっ!!」 「良かった」  島風は思っていた通り優しくて穏やかで、気持ちが温かくなる。彼の優しさを体感していると島風に連れられながらショッピングセンターに到着し、そのまま楽しい時間を過ごした。  島風は現在大学二年生で一人暮らしをしている。ショッピングセンター内を歩いている最中に彼から聞いた事だ。三歳年上の彼と並んで歩くのはいつも以上に緊張したが、心子は自分の隣に彼がいる事実に気分が高まっていた。
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