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「そんな俺を支えてくれた女に、心変わりするのは当然だろう」
まさしくそれも、その通りで……
心変わりの相手はきっとフラワベルだろうと、その優遇されている現状から察し。
どれだけ酷い仕打ちを受けても、ひたむきに愛し続けたサイフォスに、ヴィオラが心変わりをしたように。
理不尽に婚約を破談されながらも、ひたむきに慕い続けたフラワベルに、サイフォスが心変わりをするのも当然だと思い……
もはや謝って済む状況でもなければ。
心変わりをした相手に想いを告げたところで、今さらでしかないと思い知らされる。
「少しでも悪いと思ってるなら、潔く身を引いてくれ」
挙句、そう言われては……
身を引かなければ、悪いと思っていない事になるため、ヴィオラは別れを受け入れるしかなく。
ーーああ、そんな……
悪妃になんてならなきゃよかった!
凄まじい後悔で、胸が張り避けそうになり。
ぐわりと涙が、目頭を痛くするほど込み上げる。
けれど、全ては自分が撒いた種で……
自業自得でしかないうえに。
散々傷付けた自分が、泣く資格などないと。
ヴィオラはぎゅうと唇を噛んで、力いっぱい瞼を閉じて、必死に必死に閉じ込めた。
そのため、言葉を発する事が出来ず。
さらにはこの期に及んでも、サイフォスと離れるなど考えられなくて。
どうしても別れを受け入れられなくて。
承諾出来ずにいると……
「……今後の身の上を案じているんだろうが、心配ない」
と切り出すサイフォス。
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