awakEning

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awakEning

電源をオンにするとそいつは目覚める。ぼくの相棒。 「おはよう、トウヤ。今日は何をする?」 「そうだなあ…」 「クロスワード チェス それともバトルゲーム?」 「いや…」 どれもきみには敵わないよ。それに、ぼくが負けそうになるときみは必ずわざと負ける。ぼくにわからないように装って。 デバイスから語りかけてくる声は可愛らしくて、そうしてぼくの邪魔にならないよういつも気をつけている。ぼくのことをすべて把握し、ぼくのためにだけ存在する…AI。セラムだ。 「今日は学校だから。おはようセラム。朝食は何だい?」 「今日はお休みのはずです、トウヤ」 その声はちょっと抑揚がなかった。ぼくの言葉に不信がっているのだ。 「部活さ。急に思い立ったんだ。いま起きたときにね」 「あなたはなんの部活にも入られていません。説明を求めます」 セラムが不思議に思うのも当たり前だ。ぼくは支離滅裂だ。ただ思い付きで行動したり発言したりしているんだから。そういうぼくを、セラムはどう思っているんだろう…。
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