告白の向こう側

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 同期の大沼が恋に破れたというので、僕は慰めついでに冷やかそうと思い立ち、彼を居酒屋に誘った。  表面的には慰めるのがメインであるから、飲み代の半分ぐらいは奢ると言って呼び出した。 「そういう気分じゃないから、一杯飲んだら帰らせてもらうよ」  いかにも傷心と言った表情で、彼はそう言った。  もちろんそれは嘘である。  本当に彼がそういう気分でなかった場合、呼び出したところで家の外には一歩も出ない。  出てきた以上、口でどう言ったとしても彼はそういう気分に違いないのだ。
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