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勝手な事してごめんね、宮古お姉ちゃん。
だけどやっぱりわたしにとってお姉ちゃんは大事な人だったから、私だけが生き残ってもダメだったんだ。
それにどうしても知りたいこともあったんだ。
「さて巫女よ、貴女がなすべきことは分かりますね?」
隣に座るのは教主さま、に見えても違う人だ。
さっきこの人がお姉ちゃんに語ったのは少しおかしい所があった。
わたしたちは隙を見て教会から逃げ出したって言ってた。
でもそれじゃおかしいんだ、わたしたちを逃がしてくれたのは他でもない教主さまだったんだから。
「あなたは誰?どうして教主さまを語っているの?」
それにわたしの目には見えている、教主さまの中には魂が二つある。
その一つが今運転してる人やお姉ちゃんを襲った人とつながっていた。
「……なるほど聡いですね、さすが巫女の血をひくだけのことはある」
「答えて、教主さまに何をしたの!?」
「簡単ですよ、私達と一つになってもらった。ただそれだけのことです」
そう言うとソレはもっとよく見えるように素肌をさらしてみせた
「考えたのですよ、魂を少し他者から借りてそれを統合すればより互いを知り互いのために動けるのではないかとね」
「そのために、教主さまを?」
「えぇ、本来であれば巫女である貴女やペールにも協力してもらうつもりでしたが邪魔されましてね、少しお手伝いをしてもらったのですよ」
わたしには分からない、目の前で嗤うソレが本当にわたしが知ってるみんななの?
「まぁいいでしょう、教主様も生き辛い人生を送ってきたのですから。今は我らの中で我らの成す大望の成就を望んでいるはずですよ」
大望、そう私はそれを知っている。
本当なら宮古お姉ちゃんやおばさん、人形のお兄ちゃんやお話のお兄ちゃんにも話すべきだったもの。
だけど暖かったからこそ、それを言えなかったもの。
わたしはその責任を取らなきゃならない、それがわたしの罪なんだから。
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