8.変わる世界

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 そう告げるディランの声も聞こえないのか、フィーネは窓から見える景色を瞬きすらせずに見つめていた。  つい先日の内戦で、なんの被害もでなかったわけではない。馬車で通る途中くぐる門が壊れていたり、怪我を負った兵士らしき姿もあった。  それでも町は活気にあふれていた。行きかう人が声を上げ笑い、子供がかけていく。お店にはたくさんの商品が並び、それを手にとる人が値段を交渉する。 「……グランバルドも、こんな風になるでしょうか?」  本人に自覚はなくとも、その思考はすでに『女王』にふさわしい。 「えぇ、きっと。神聖力やグランバード神の信仰のためだけではなく、国と国、対等な立場で物流が活発になり、人が行きかうような、そんな国になるでしょう」  そう言うと、フィーネは満面の笑みで「はい」と答えた。
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