第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

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第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

「美月、僕……大きくなったら美月と結婚する!」 「ごめん! 私には心に決めた人がいるのっ」 「えっ?」 「私……玲央くんと結婚するっ」 「えっ? あのアイドルの?」 「そう! 玲央くんに恋しちゃった!」 7歳の春、俺……愛月海斗は大好きな幼馴染に振られた。 しかも、彼女が想いを寄せる相手は12歳も上のアイドルの天王寺玲央。 「みんなー! 今日はみんなを世界で一番幸せなお姫様にしてあげるからね」 「きゃあああ! 玲央愛してるーっ!」 声は届かないはずなのに天王寺玲央がテレビに映る度に天王寺玲央に向かって愛を叫ぶ美月。 俺の好きな女の子はアイドルのリアコでした。 「見て! 玲央! 今月号の表紙、玲央様なんだけど! 超眩しくない⁉︎ 王子様じゃない⁉︎」 「良かったですねぇ」 「はぁ、アラサーになるにつれて色気もマシマシだし! 結婚したい……」 「まだ結婚諦めてないの?」 「玲央様リアコ、同担拒否だもんっ」 「そうっすか……」 高校生になってからも美月のリアコっぷりは変わらないままだった。 どんなに勉強やスポーツで一番になっても美容に気をつけてみても美月は俺に見向きもしないままで。 「マジ詰んだ……」 今日も中学からの友人である大智に俺は相談する。 「海斗、諦めて他の女の子と付き合ったら? 顔良いし、他の女の子からは言い寄られるじゃん」 「物心ついた時からずっと一人の女の子だけが好きな俺が今更別の子を好きになれるとでも?」 「どっちも一方通行の片想いだねー」 「もう最終手段を使うしかないかなって」 「最終手段?」 「これだよこれ。事務所のオーディション、募集開始されたらしい」 「玲央様の事務所の?」 「玲央を蹴落とす方が手っ取り早い」 そう、俺がアイドルになって玲央を超える存在になりさえすればさすがの美月も! 「やり方がずれてる気がするけど」 「もう履歴書は出したからなっ」 「えー!」 かなり盛れてる写真を使ったし、自己PRも長文で書いたし、完璧だ。 書類審査はあっさり受かってしまった。
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