一人の鬼と二人の聖女

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一人の鬼と二人の聖女

それは私がオフの日だった。 久しぶりにアークス業務から解放された私は128番艦【テミス】の ショッピングセンターにて私服を探していた。 どうせ普段は戦闘服しか着ないのだから私服なんてそんなものさして必要はないのだけれど、これでも私は24歳を迎えたばかりの立派に女性と呼ばれる年齢だ。たまに出かける時くらいだってあるだろうし私服はいくつ持っててもいいんじゃないかというチームマスター兼義母親からの口うるさい口撃によって 私はここまで気乗りしないながらもやってきていた。 「とはいったところで私基本引きこもりなんだけど。」 そうぼやきながらコスチュームセンターの中へと入っていく。 早速獲物を見つけたかのようにやってきた店員を視線で諫め、 棚にぶら下がっていたり綺麗に収まっていたりはたまたマネキンに飾られているコスチュームを眺めながら思う。 『ーーーーなんでこう女性アークス用のコスチュームって『大きい』のが前提なのかしらね。お陰で私みたいなのだと肩身が狭いったらありゃしないわ。』 先程から物語の話の中心になっているように見える私ーー神宮(かみや)ジャンヌは女性アークスにしてはまぁ珍しいほうの『ない』一族なわけで。 お陰で服選びには苦戦した記憶しかないのだ。 「ん?」 そんな中、一体のマネキンに飾られたコスチュームに目が行った。 それは赤いへそ出しシャツに肩からサスペンダーが下りていてショートパンツスタイルという大変攻めた格好だったが、なぜか私の眼には「これしかない」という思考で染まっていた。 「すいません。」 私はさっき視線で諫めた店員に声を掛ける。 一瞬肩をびくっとしたような気がするがあえて見ないことにした。 そして振り返った店員に見つけたマネキンを指さし、 「あのマネキンのコスチューム欲しいんだけど貰えるかしら?」 そう言うと、店員は目を輝かせながら「もちろんですとも!お似合いだと思います!」そう言いながら小走りで裏のバックヤードに消えていき、少し経ってから私の元に帰ってきた。 「こちらになります。着て帰られますか?」 お会計をその場の端末で済ませた私に店員が聞いてきた。 まぁ今私が来てる服は普段戦闘用に着てる服だ。 それはまぁ気になるだろうなとは思う。私はその言葉を了承し着替えて外に出ることにした。
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