第五章 犯行動機

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「毒キノコを食べさせた後に、秘密を漏らせばまた同じような目に合うぞと脅せば効果はあるんじゃないのか?」  あきらが言葉を遮りながら疑問を投げてくる。 「直が色んな人の秘密を持っているのは周囲の人間はなんとなく気がついていたんじゃないのかな? 色んな人の深刻な相談を受けていたのは僕だって気がついていたぐらいだ」 「まぁ。確かにな」 「そんな中で犯人が脅しをかけても直にとってはどの秘密のことを話してはいけないのか分からないだろう? 結局犯人は人を脅すというリスキーな行為をしても安心は得られないのさ」 「それでも、直が脅しに負けて人に何もかも話さなくなったり、サークルからいなくなったりすれば意味はあるだろう?」 「……直が脅しに負けてサークルを辞めたりすると思う?」  陽太郎の質問にあきらはこめかみに指を当てながら唸る。 「しないな。絶対に。むしろ自分から犯人を探しに行くタイプだ」  実際に自分につきまとっている人物をあぶり出そうとしている。直はそういう性格をしている。そして、そのことはサークルメンバーなら全員が知っていることだった。
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