39人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
「次に瞬だ。瞬の秘密は後輩の詐欺事件と直の傷害事件に関わっていたこと。そして、その事件に関わっていたことが内定先に知れ渡ってしまったことで内定が取り消された。直には何の非もないけれど、瞬が逆恨みに思っていて恨んでいる可能性はあるかもしれないと思っていた。でも、これもないだろう」
「どうして?」
「瞬がログアウトできないなんて言う嘘を吐いているから」
あきらが眉をひそめる。
「ログアウトを妨害している理由は簡単だよ。瞬も直の死因に疑問を持っているんだ。だから、今回のゲームを利用してあの日、直に何が起こったのかを探ろうとしている。それは多分、さっきあきらが言ったように瞬は直のことが好きだった。だから直の死の原因を知りたいと思っているんじゃないのかな。そんな人間が一歩間違えれば死に至るような嫌がらせをするはずがない」
まっすぐにあきらを見つめながら陽太郎は言葉を紡ぐ。結論はもう目の前まで迫っていた。
「犯人は合理的な理由でフクロツルタケを混入したわけじゃない。合理的な理由では直に毒を盛る意味がないから。だから、僕には犯人が分からなかった。でも、さっきあきらが教えてくれたよ」
最初のコメントを投稿しよう!