13人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
脚本家シルク、爆誕
「脚本ですか…?」
予想外の願いに私は目を丸くした。
「いったいなぜ私に…?他の方ではだめなのですか?」
「今のところお前が最も適任だと思っている、教授から聞いたがお前は物語を書くのが上手いんだろう?」
「なっ……。」
「えっ、そうなの!?シルクちゃんすごーい!!」
素直に疑問を投げかけるとシャルルは数秒も待たず答えた。
私は物語を書いていることをシフォンにきかれていたのと、シャルルが知っていたのとで瞬く間に動揺し、言葉を詰まらせる。教授には今後の進路のために打ち明けていたのだ。まさか、他の生徒に打ち明けるなんて思ってもいなかった。
…教授ーっ!!
頭の中でのんきにひげを撫でていた教授に向かって叫ぶ。シャルルは私をじっと真顔で私を見つめ、シフォンは私に羨望のまなざしを向けている。
「物語書くのが好きなんだったら、誰かに読ませたいって気持ちがあるだろ、協力できそうか?」
「シルクちゃん、物語書くなんてすごいよ!やってみなよ!」
「っ………無理、ですよ。」
2人が私が頷くのを待っている。それが分かっているのに、私は黙り込んでしまった。
確かに物語を書くのは好きだ、誰かにいつか読んでほしいと思った時もある。しかし、私は物語を書くのが好きなだけの平凡な女だ、
小説家になれるほどの文才はないし、ネットに投稿したことはあったが、大ヒットしたことは一度もない。2年間書いて投稿しても誰かの本棚に入ったことは一度もなかった。
…私は好きなだけで、才能はないんだ。
そう感じて断ろうとしたその時だった。
『シルク、自分を少しいじめすぎだよ、』
最初のコメントを投稿しよう!