脚本家シルク、爆誕

1/8
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ

脚本家シルク、爆誕

「脚本ですか…?」  予想外の願いに私は目を丸くした。 「いったいなぜ私に…?他の方ではだめなのですか?」 「今のところお前が最も適任だと思っている、教授から聞いたがお前は物語を書くのが上手いんだろう?」 「なっ……。」 「えっ、そうなの!?シルクちゃんすごーい!!」 素直に疑問を投げかけるとシャルルは数秒も待たず答えた。 私は物語を書いていることをシフォンにきかれていたのと、シャルルが知っていたのとで瞬く間に動揺し、言葉を詰まらせる。教授には今後の進路のために打ち明けていたのだ。まさか、他の生徒に打ち明けるなんて思ってもいなかった。  …教授ーっ!!  頭の中でのんきにひげを撫でていた教授に向かって叫ぶ。シャルルは私をじっと真顔で私を見つめ、シフォンは私に羨望のまなざしを向けている。 「物語書くのが好きなんだったら、誰かに読ませたいって気持ちがあるだろ、協力できそうか?」 「シルクちゃん、物語書くなんてすごいよ!やってみなよ!」 「っ………無理、ですよ。」  2人が私が頷くのを待っている。それが分かっているのに、私は黙り込んでしまった。 確かに物語を書くのは好きだ、誰かにいつか読んでほしいと思った時もある。しかし、私は物語を書くのが好きなだけの平凡な女だ、 小説家になれるほどの文才はないし、ネットに投稿したことはあったが、大ヒットしたことは一度もない。2年間書いて投稿しても誰かの本棚に入ったことは一度もなかった。 …私は好きなだけで、才能はないんだ。  そう感じて断ろうとしたその時だった。 『シルク、自分を少しいじめすぎだよ、』  
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!