瞳子

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瞳子

「はぁ〜、幸せ」 女は猫カフェにいた。 癒しに飢えていた頃ここの猫カフェを偶然見つけ、ふと入ってみると想像以上の癒し空間であった。 猫カフェの猫はあまり相手をしてくれない事も多いが、そんな事は構わない。 猫達と同じ空間に居られるだけで充分だ。 気づけば女は猫カフェに通い詰めるようになっていた。 女は霧島 瞳子(きりしま とうこ)という。 自宅アトリエで、ジュエリーデザイナー兼彫金師をしている。 28歳、彼氏いない歴4年。 一人暮らし。 寂しさにも慣れてきたところで今度は癒しが欲しくなり、猫カフェの常連客となった。 猫と遊んだりする事はせず、もっぱら眺めているだけだが。 この日もまた仕事の合間に猫カフェに来ていた。 なんとなく今日は猫に近づいてみようと思った。 グレーの猫をそっと撫でると、柔らかな毛並みが大変心地よかった。 (あぁ〜、モフモフ) 気付けば撫ですぎていたらしく、グレーの猫は去ってしまった。 (ストレスになっちゃったかな、悪いことしたな) 瞳子が反省していると、足元に白い猫が擦り寄ってきた。 「可愛いー‼︎撫でてもいい?」 白い猫にお伺いを立ててから撫で始めると、白い猫が瞳子の手を舐めた。 ズキューーン その瞬間、瞳子の心は射抜かれた。 (この子すごく接客が上手…!猫と暮らしたら、毎日こんな想いができるのかなぁ) 猫と…暮らす… 瞳子の頭に今までにはなかった考えが浮かんだ。
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