最終話 愛してるじゃ足りないくらい

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「んじゃ…後で飯でも食いに行くか?」 「わぁっ!いいね!賛成!!」 「えぇ…まじ?せっかくデートだったのにさぁ…」 「こんなこと滅多にないじゃんっ!ね?加野せんせっ!」 残念そうな陽介と対称的に、湊は嬉しそうにカウンターに身を乗り出して、りつの顔ギリギリの所まで近付きやがってほんと油断も隙もない。 本当に人たらしがすぎる… 「湊…っ、お前近いんだよっ!」 「あはっ、将吾怒ったぁ?」 「湊ぉ…俺も怒るよ?」 ムスッとし陽介のご機嫌を取るべく、りつがタピオカをサービスしてやると、口を尖らせながらも口角は上がって嬉しそう。 そういや、タピオカ…りつと一緒に飲んだりもしたよな。 なんて昔のことを思い出していると、何故か陽介が俺と同じような思い出を語り始めた。 「なぁ、そういや昔さ?先生俺にタピオカ奢ってくれたよな?」 「…っ!?ん…?あれ…そうだっけ?」 「えーっ、なになに!?そんな話聞いたことないっ!」 湊が食い気味に陽介に突っ込むが、俺もそんな話は聞いたこともない。 は?いつ?どこでだよ… 俺だってあの時くらいしか外で遊んだことなかったのに、りつは陽介と遊んだりしてたってことか? ジトーっとりつを睨みつければ、あれ〜?なんて言いながらおどけて誤魔化すから、これは追求すべき案件とりつを追い詰めた。 「おい…」 「えーっと…なんだっけなぁ〜」 「後でちゃんと説明しろ…」 「はぁ〜い…」 しかし相変わらずのこいつらとの再会… なんだか学生気分が戻ってきちゃうな。 季節も春めいてだんだん暖かくなってきたし、たまには賑やかなのも悪くないかもな。 「じゃあまた後でねっ!」 「おぅ!仕事終わったら連絡するわ!」 そう言って一旦湊たちを見送って、俺らはまた販売を続けた。 「で?なんなの?タピオカ奢ったって… 」 「あれはだなっ、元はと言えばお前がさぁ…」 必死になって弁解してくるりつが面白くて見てて飽きないけど、そんなりつをガン無視してお客さんの相手をしていれば、本気で凹み始めて焦るりつがやっぱり可愛すぎる。 「なぁ…っ、どうしたら許してくれる?」 「そうだなぁ…じゃあデッカイ声で愛してる〜って叫んで?」 「お前…本当にいいんだな?俺叫ぶぞ?」 「…いいよ?出来るならやってみろよ」 「よし… っ、あいしてるぅーーーーっ!!」 うわっ…マジでやりやがった!! みんなこっちみてんじゃん…恥ずい、恥ずすぎる…! 「ばかっ!お前、みんなこっち見て…っ、んぅ…っ!?」 はっ?俺今…キスされてる!? ダメだって…そんな目で見んなバカっ…///// 「…っん、はぁ…っ、何すんだよ…っ!」 「愛してるなんかじゃ足んねぇから」 「なっ、もぅ…わかったよ…っ////』 ニヤッと笑う妖艶なりつに俺はやっぱり敵わなくて、結局好きが更新されていく。 りつの事が好きで好きで堪らない。 「俺も…っ、愛してるじゃ足んない/////」 「んふっ…たまんねぇな」 俺らも本当に色々あったけど、ここからまた二人で新しく始めていけるといいな… ずっと、二人で…一緒に♡ そしてこの後、仕事終わりに改めてあの二人とご飯食べに行って 飲んで… 色々大変なことになった、と言う話はまたそのうちに…♡
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