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「残った者で建物周辺の探索、及び建物内の安全場所と食料や飲料が残ってないかの確認だ」
やーさんの指示に周りの者たちが従っていく中、
「何で、俺たちがお前らみたいな奴の指示に従わなきゃならねぇんだよ! 」
少し離れた場所から怒声が聞こえてくる。
「ほぉ、私達の言う事が聞けない、そうおっしゃる訳ですか……なら、どうなるか判ってんだろうなっ! 」
サタン達と元死神達が揉めていた。
「どうした、何を揉める事がある」
やーさんはゆっくりと近付き揉め事の理由を尋ねる。
「こいつらは俺達を舐めてやがるんだ。そんな態度じゃどういう運命になるかってのを教えてやる」
サタンが睨みを効かせ、デビルが袖を捲って臨戦体制へ。
「そういうところだよ!恐怖を与えて無理矢理抑え込もうとする。そんなあんたらの指示に従えるかよ」
死神達も大鎌を構える。
「ゲームやってる時はお前達が何者か分からなかったから手を出さないでおいたが、ただの庶民だと分かった今、慣れない武器を持った者と常に戦ってきた私達とでは話にならないがそれでもやろうってんですか」
サタンの暴力団である目が鋭さを増す。
「周りを見てみろ!何もないこの世界、ヤクザもクソもない、今のあんた達はただのクズだ!キャンキャン吠えるだけのクズに従えるかよ! 」
お互いがにじり寄り、意味のない戦闘が始まる距離まで近づいた時、
「お前らの言い分はよく分かった」
やーさんの言葉で振り上げていた腕が止まる。
「てめぇ、何言ってやがる。ここで舐められたら俺達の商売上がったりじゃ…… 」
胸ぐらを掴み上げるサタンの右拳を、目線は死神達に向けたまま払い除け、
「確かに俺達はクズだ。だが、お前達はどうなんだ?クズがクズを罵って気分だけ英雄か?お前達の好きにすればいい、俺達はもうお前らに指示もしないし、興味もない。お前らだけでこの廃墟の世界を生きればいい、じゃあな」
やーさんが背を向けると、
「い、いや、それは…… 」
自分達だけでは何も出来ない事を知っている死神達は黙り込んだ。
その一瞬の静けさを待っていたかのように、スマホが震え鳴る。
「ちっ」
今の状況で鳴るスマホが良い報告をする訳がないと思うやーさんは、小さく舌打ちした後、ズボンの右ポケットからスマホを取り出し画面を見る。その中には、
「ふぁ〜っ、よく寝た寝た。ってか、寝坊しちゃったゴメンゴメン」
肩先まで伸びた金髪の先はカールを巻いており、ブルーのコンタクトが入った目の上はこれでもかと主張するつけまつ毛の可愛らしい女の子がペロリと舌を出す。右上には【LIVE】と書かれたピンクの文字。
英数文字しか映らなかったが画面が一気に華やかにはなったが、裏腹にどす黒い緊張感が増していき、
「誰だてめぇ…… 」
やーさんの語尾は自然と小さくなった。
「やだー、怖いー 」
女の子は両手指を広げて目を隠すが、ブルーの大きな目が指と指の隙間からふざけるように覗き込んでくる。
「誰だって聞いてんだ! 」
苛立ちが緊張感を超え、いつも通りのやーさんの怒鳴り声。
「そんな言い方してたら女の子にモテないでしょー 」
両手を顔から外して顎の下に置き、
「そうそう、自己紹介だったわね。私の名前はMi iちょん、この国のセンチネルよ」
少しだけ首を傾げてニコリと笑った。
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