27人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
桜瞳のシナリオ
茂川 田口 小池 鈴木臨の四人は鈴木恭子の話をじっと聞いていた。
茂川は「桜瞳のシナリオ?今回の事件も十年前の事件も全て桜瞳が考えた事だというのか?何故?桜瞳は三好一郎を憎んでいたのか?鈴木臨が三好政夫に相談した事と何か関係があるんですか?鈴木さん」
鈴木臨の母親の鈴木恭子はゆっくりと話し始めた。
「三好一郎は今と同じようにカメラが趣味でした。当時一郎は趣味でカメラをいつも持ち歩いてる青年でした。
何故三好一郎を憎んでいたかこれから私が調べた事をお話いたします。桜には親友がいたんです。当時の写真はなかったのでわからなかったんですが?その人の名前は〜同姓同名なのかもしれませんが立花春美さんです」
茂川は「立花春美?我々が埼玉県立南高校に来るように呼んだ。カウンセラーの立花春美か?でも、まさか同姓同名って事もあるよな?」
鈴木恭子は言った「私もわかりませんが、その立花春美が三好一郎に酷い事をされていたそう
なんです。
そして、名前を変えて生きていた。
それに顔も変えて別人として生きていた。
そうするしか立花春美さんが生きて行く事ができなかったんです。
そして、立花春美さんの本当の名前は音無夢香です。そう、音無先生の娘さん。
そして十年前、緑ヶ丘高校で桜瞳と一緒に殺害事件を起こしたもう一人の犯人です」
「えっ?何で音無先生の娘さんが〜」
鈴木恭子は更に話し始めた。
「私が調べた事を全て話します。当時、緑ヶ丘高校で桜瞳と同じ陸上部だった彼女は部活や学校の写真を撮る事を学校側からお願いされていた三好一郎と知り合ったと聞いています。何故学校側が学校のパンフレットなどの写真を三好一郎に頼んでいたのかというと三好一郎はアマチュア写真世界大会で一位を獲得したのです。
当時新聞にも大きく取り上げられ、テレビにも出演した彼はカメラ好きの憧れの的でした。
そんな彼は立花春美に夢中だった。
やたら陸上部の写真を取りに緑ヶ丘高校まで来ていたと聞いています。
ある日三好は彼女が着替えているところをこっそり写真におさめた。それに立花春美が彼とキスをしているところさえも写真におさめたそうです。
その後、だんだんと三好の行動はエスカレートしていったそうです。
当時相談を受けた陸上部の彼女の友人から聞きました。そして三好はストーカーになっていっ
たんです。どうしても諦める事ができなかった三好は自分と付き合うようにと立花春美に言ったそうです。
勿論、春美は断りました。そして警察に相談したんです。その相談相手は〜私も人に調べてもらっていたのですが先程その方からラインで連絡が入ってわかったんです。
その時の相談相手は野上高野刑事でした」
茂川は驚きながらも鈴木恭子に聞いた。
「えっ?野上先輩?」
鈴木恭子は言った「そうです。野上刑事です。当時はまだ、ストーカー事件は今ほどメディアに注目されていませんでした。だからなのでしょうか?野上刑事はストーカーの証拠がないと事件にならない自分で隠れていれば大丈夫だろうと言って軽くあしらったそうです。
三好はそれをいいことにますます立花春美につきまとうようになったそうです。
ある日、立花春美は、三好にはっきりと話したそうなんです。あなたとは付き合えないと。すると逆上した三好は立花春美のお腹を必要以上に殴りつけました。
立花春美はお腹を抑えて道で倒れてしまいましたそして、救急車で運ばれましたそうです。
それが元で春美は医師からこう告げられました。
もう、子供は望めないと。
三好は知っていたんです。
女性がどうすれば一番苦しむか?どうすれば一生自分の事を忘れないようになるのかを〜だから三好はお腹を殴った。
前日まで女性の身体に関する本を読んでいたと三好の知り合いの男性から証言をもらっています。
そして三好は殴られてお腹を抱えてる春美を裸にして写真を撮ったんです。そしてその写真をネットで売り捌いた」
茂川は言った「なんて、酷い事を〜。野上先輩がちゃんと聞いていればこんな事には、それで桜瞳が考えたシナリオとは?」
鈴木恭子は言った「そのシナリオは三好一郎に近づいて三好の家庭を崩壊させる事から始まっ
たんです。
そして、自分と同じ思いをさせる事から始まりました。
桜瞳はたぶん最終的には三好一郎を首謀者に仕立て上げるそこまで考えていたんだと思います。
桜瞳と立花春美二人は協力しながら今回の殺人事件を起こして人を操って自分達の復讐をさせていたんです。まず初めに立花春美が行った事は埼玉県立南高校の国語の先生近藤真美子先生と三好一郎をさりげなく会わせる事から始まります。
つまり、近藤真美子先生と三好一郎の不倫も仕組まれたものだったんです。
そうとも知らず近藤真美子先生は立花春美と桜瞳に利用されて、三好一郎を互いに結婚している身でありながら愛してしまった。
純粋に〜そして命まで落としてしまったんです。
私がもっと早く近藤先生と野上刑事の依頼に応えて入れば、こんな事にはならなかったんじゃないかと今も後悔しています」
鈴木恭子は涙を流しながら話していた。
そして、近藤真美子と一郎をどうやって出会わせたのか?何故一郎の家に桜瞳は頻繁に行くようになったのか?鈴木臨の母親鈴木恭子の話で今回の埼玉県立南高校の殺人事件の真相が全て明るみになっていくことになる。
そして、野上高野刑事の死さえも、全て桜瞳のシナリオだったことも鈴木恭子は警察が掴んでいない事を次々と話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!