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後頭部に衝撃と激痛を感じると、視界が真っ暗になる。ベリエスは、そのまま地面に倒れ込んだ。
─ ─ ─ ────
「頭、血!」
「痛そう……」
可愛げのある幼い声が、いくつも聴こえる。けれど、居るのは子供だけではないみたいだ。
「お前等近付くな。こいつも人間だ。怪我してるが、何しにここに来たか知らねぇし、簡単に信用すんな」
警戒心が強そうな、低い男の声もする。
ズキズキする頭の痛みも、自分を覚醒させるきっかけになって、重たい瞼を持ち上げた。ぼんやりと、目の前が見えてくる。
最初に見えたのは床だった。数秒後に、寝かせられていたんだと気付く。
視界がはっきりしてくると、床に大勢が座っているのがわかって、少し上を向く。
目の前に居たのは人間の少年。誰かの膝の上に座って、虚ろな目をしながらおとなしくしている。
少年を膝に乗せているのは人間ではなく、狼の獣人。こちらを睨み付け、後ろに居る獣人の子供達をベリエスから隠す様に座っていた。
猫や犬、大人になると見た目が恐ろしげになる狼や虎の子も居るが、今はとても可愛らしい。こちらを心配そうに覗いている。
室内は正方形状。およそ四・五帖。少しの余裕はあるものの獣人の子供が七人、人間の少年が一人、狼の獣人が一人、そして自分。
木造造りの室内からは、湿った木の臭いがする。
「ここは……」
「物置小屋だ。今は仕舞ってた物全部出されて、俺等を閉じ込める場所になってるけどな」
「閉じ込める……? っ!」
頭の痛みも気になるし、状況も理解出来ない。
とりあえず身体を起こそうとしたら、腕が自由に利かなかった。身体の前にあった手首には、短い鎖が付いた鉄製の腕輪が嵌められていた。
「これは……いったい何が……」
困惑しながら、腕の力で何とか起き上がった。
「見付かったんだろ、奴等に」
恐い顔付きで面倒そうにしながら、狼の獣人はこうなった経緯を話し始めた。
「この村は今、奴隷商人が雇った盗賊達に乗っ取られてんだよ。何日も森歩いて村に辿り着いたみたいだ。他の大人達は、別の場所に閉じ込められてる」
「奴隷商人と、盗賊だと……?」
「お前もこっちに連れて来られたって事は、売り物として認められたんだろうな」
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