山を掘る男

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しばらくしてから、坂口から飯に行こうと言う話が合った。 近所の居酒屋だが、酒を交えて話す。 坂口とは久しぶりだ。 坂口が言った。 「それであの男のことなんだが、松木も気になっているだろう」 「そりゃあもちろん、これでもかと言うくらいに気になっているさ」 「名前は貝田という男だ。年齢は四十九歳。顔は見ていないが、服装と体つきが、穴を掘っていた男と同じだと言っていたよな」 「言った。同じだった。それは間違いない」 「それも含めておそらく同じ男なのだろうが。で、いろいろと調べた結果、貝田が自ら穴を掘り、自らの身体に土をかけて埋め、そして死んだと言う結論に達したんだ」 「えっ、貝田は二メートルくらいの穴の底に横たわっていて、その上に穴が埋まるほどの土がかけられていたんだろう。それでどうやって底に横たわったままで、そんな深い穴を埋めたんだ」 「それはわからん」
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