716人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
病室から駐車場まで・・・、その途中で再び美嘉にでくわした。
「荒木さん、また会っちゃったね」
「そうだね......」
その言葉を残すと、それ以外何も口にすることなく、祥一郎は美嘉を横切り車に向かって歩いて行った。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
美嘉は、尚毅と同棲するアパートに戻ると、尚毅はテレビモニターと睨めっこしながらゲームをしていた。
「ただいまぁ......」
「おー!おかえりー。ばーちゃんどうだった?」
「うん、だいぶ、ごはんも食べれるようになったみたいだし、元気そうだった」
「そか、そりゃよかったなぁ。おりゃー、おりゃー!!」
ゲームのリモコンを巧みに動かし、尚毅は戦闘ゲームに渾身を込める。
「ねぇー尚毅・・・、さっき荒木さんと会ったんだけど......」
「おりゃおりゃー!!」
「ねぇ、尚毅、聞いてる?」
「うりゃぁぁぁぁ!!」
「ねぇ、尚毅ってばー!!」
【GAME OVER】
「くっそー!! ・んで? 美嘉何だって?」
「荒木さんと会ったんだけどって、さっきから言ってるぢゃん!!」
ゲームに夢中で話を聞かない尚毅に、美嘉は苛立ちを見せた。
「祥さんと? 会ってなんだよ......」
「なんか様子がおかしかったよ? 元気ない感じ......。 何かあったんぢゃない?」
「何かって?」
「そんなのわかんないよ。でも明らかにおかしかったよ」
「明らかにおかしい......?」
「ねぇ尚毅、なんか気になんない?」
「.......そだな......」
尚毅は一点を見つめそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!