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「だ…だって、好きなんだもん…」
「え?」
「…水族館が」
祐くんは一瞬固まっていたが、すぐに脱力していた。
「な、なんだ…びっくりした…」
「え?なんで?」
「…いや、何でもない」
「えー、気になるよー」
「気にしなくていいって。ほら、次行こう」
押し問答の末、祐くんは振り切って先に進んでしまった。私も急いでその後を追いかけた。
水族館は、他にも冷たい海のエリアや、クラゲのエリア、水辺のエリアなどがあった。私達は並んで、順にそれらを見て回った。
屋内のエリアを見終わると、次は屋外のエリアに出る。その前にお土産ショップがあった。
「祐くん、少し見てもいい?」
「うん、いいよ」
私は一度祐くんから離れて、店内を見て回った。祐くんも少し離れたところで、私とは別のところを見ていた。
私はとてもきれいなキーホルダーが目に入り、そのコーナーで足を止めた。
家の鍵をつけているキーホルダーが、そろそろボロボロになっていることを思い出した私は、気になったいくつかを見比べていた。
「気になるものでもあった?」
じぃっと見ていると、祐くんがやってきた。
「ちょっと悩んでるんだけど…」
値段も手が出ないものではないけれど、今使っているものが手に馴染んでいて、なかなか変えがたい、ということから、私は悩んでいた。
「うーん…今回は止めておこうかな。悩んじゃってるし」
「そっか」
その後、お店を出て、屋外エリアを回った。
この屋外エリアは、都会のビル群の中にある水族館、ということを存分に活かした作りになっており、屋内エリアとはまた違う楽しみ方が出来るところだ。
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